藤ヶ嶽・西ノ嶽・いぬくす山(下関市内日上) [県西部の山]
前回(2月24日)周回した際、藤ヶ嶽からの下りルートが期待したほどではなかったので、別ルートで再度歩くことにし、あわせて西ノ嶽・いぬくす山へ縦走してみた。
藤ヶ嶽の南尾根ルートは谷詰めし、植林・雑木尾根を直登する。谷分岐から植林尾根にうまく取り付ければヤブコギなしに最短で上がれる。
西ノ嶽からいぬくす山の縦走路は、途中音無稲荷への分岐を過ごし390mピークを越えながら、主として植林境の尾根を長々とたどる。大谷へ下る分岐を過ごすと山頂に至る。
いぬくす山の尾根ルートの下りは、大字境の分岐がわかりづらいが、これをクリアすれば一気に下れる。(2024.3.4)
駐車地から藤ヶ嶽・西ノ嶽
西ノ嶽
(1,2クリックで拡大)
●駐車地~藤ヶ嶽
亀ヶ原の集落道(旧道)沿いに駐車。近くに浮石義民直訴の地の石碑が建っている。
県道を渡り集落道に入る。亀ヶ原公民館を過ごし最奥民家から狭い舗装の道に変わる。
県道横断部
集落道
最奥民家前
当初この先の分岐から、以前下ったことのある点の記ルートで登るつもりだったが、防獣フェンスが張られていたのであきらめ、先へ進むことにする。
谷が詰まってくると舗装が終わり、幅広の山道に変わる。
舗装道終点
幅広道
石垣沿い
沢を渡り、沢沿いに植林谷を詰めていくと谷が三方へ分かれる。右方向へテープがついていたので少したどってみたが、西ノ嶽へ直登するような感じなので分岐へ戻る。
沢渡り
沢沿い
植林沿い
谷分岐
右谷へのテープ
北に少しあがったところに平坦地があり、炭焼窯跡がある。平坦地の東端から左の植林尾根に取り付く。しばらく直登すると右から雑木林が合わさり、標高280mあたりで高木に出合う。さらに登ると両側が雑木の尾根に変わる。
平坦地・尾根取り付き
炭焼窯跡
植林尾根
右雑木尾根に変わる
雑木の高木
雑木尾根
登り切ると前回歩いた360m支尾根合流点に出て、後ろに北東側の展望が開けてくる。
雑木尾根
360m支尾根合流点
伐採跡の尾根
首かたげ山(左後方)・西ノ嶽
まもなく藤ヶ嶽山頂に着く。
山頂手前
藤ヶ嶽
四等三角点「ゆうのき」
●~西ノ嶽
次は西ノ嶽をめざす。前回とは逆方向で南東へ向かう。すでに報告済みなので以下写真のみとする。
前回見落とした450m鞍部南側に残る枯れ松の大木と、470m支尾根合流点のコン杭を新たに加えた。枯れ松は前回報告した「柱松」のなごりだろうか?
伐採尾根
340m支尾根分岐点
鞍部手前
330m伐採鞍部
伐採尾根
伐採尾根頂部の展望.
丸尾山方向・背後に笠ヶ岳
雑木尾根
雑木尾根
390m支尾根合流点
鞍部
雑木尾根
石杭(倒)・コン杭
雑木尾根
コン杭
450m支尾根合流点・コン杭(倒)
枯れマツ
平坦尾根・コン杭
470m支尾根合流点・コン杭
平坦尾根
植林境尾根・上り
山頂手前
西ノ嶽山頂
山名プレート
●~いぬくす山
次に2キロほど南に位置するいぬくす山をめざすことにする。12年前に河内側から西ノ嶽へ上がったときは、中間の340m①鞍部から南の林道へ下りたが、今回は長丁場の縦走となる。
山頂から南に下るとすぐ、東と南のそれぞれの分岐に私設道標を見る。また、西へ急勾配で下る尾根にもテープが付けられているようだ。先ほどの下方の谷分岐で見たテープが続いているのかもしれない。標高差300mはあるので、こちらから上がるのはかなりしんどいだろう。
道標(首かたげ山方面)
道標(音無稲荷・水源地北端方面)
尾根上にコン杭と石杭があり、煩雑だが確認できた範囲でルート図へ記載した。また、途中ところどころテープが付けられている。
以下主な留意点のみ記載する。
〇~340m②鞍部
雑木尾根を下ると440m②支尾根分岐点で植林境尾根に変わる。
雑木尾根
450m・コン杭
440m①平坦ピーク
440m②植林頂部・右へ
植林境
430m支尾根分岐点
植林境
400m支尾根分岐点で右に音無稲荷へ続く尾根ルートが分かれる。私設道標あり。
道標
支尾根分岐点・石杭
植林境・石杭
380m支尾根分岐点
植林境
340m①鞍部及び340m②鞍部では左(東)の谷から作業道が付いている。下方の林道川頭線から分岐したものだろう。
340m鞍部①・作業道出合い
鞍部・石杭
植林境上り・石杭
360mピーク・石杭
植林境下り
340m鞍部②
鞍部から作業道方向
〇~390mピーク
南東方向へ350mの小ピークを越えると、360mや380mの支尾根分岐点で方向を変えながら、390mピークまで植林境主体の緩い尾根が続く。
植林境上り
350m平坦ピーク・石杭(倒)
340m鞍部
植林境上り
コン杭
360m支尾根分岐点
コン杭(倒)
石杭
コン杭
石杭(倒)
380m支尾根合流点.
コン杭
390mピーク
390m支尾根分岐点・石杭
雑木尾根下り
380m支尾根分岐点・石杭
〇~いぬくす山
380m支尾根分岐点手前の鞍部で、雑木斜面を左へトラバースしながら360m鞍部へ下る。下降地点にはテープがいくつも付けてある。
先の道標によると、360m鞍部から右(西)の大谷へ下るルートもあるようだが、谷方向のテープ類は見えない。
380m鞍部・トラバース地点
トラバース下り
360m鞍部
鞍部石杭
西方の植林谷(大谷)
鞍部から小尾根に上がり(石杭がある)、370m支尾根合流点に出て、植林境をたどると、いぬくす山山頂に着く。
西方の植林谷(大谷)
370m支尾根合流点・コン杭
植林境尾根
山頂手前
いぬくす山山頂
山頂は狭く、三等三角点「大谷」が座る。展望は得られない。
山頂直下(東側)に高さ4、5mの岩がある。ほかに特徴となるものは見あたらない。
三等三角点「大谷」
山頂下(東側)の岩
●~駐車地
この先にもテープは散見できるものの、あまり歩かれてはいないようだ。
植林境尾根を下り、370mピークで方向を変えると、左植林斜面となる。
植林境下り
360m鞍部
植林尾根上り
370mピーク・プラポール
下方の谷の木にテープがある(植林管理用?)が、構わずそのまま尾根を直進。350m支尾根分岐点で植林境に沿ってふたたび方向を変えて下る。
植林境
350m支尾根分岐点
植林境
注意していたが支尾根分岐点を見過ごし、そのまま大字境の尾根を下ってしまった。戻ってみると、分岐点が少しシダヤブになっていて、古い赤テープが幹に巻いてある。
340m支尾根分岐点・シダヤブ
ここをクリアし雑木尾根を少し下ると、ふたたび植林境に出て歩きやすくなる。
雑木尾根
雑木尾根
植林出合い
310m支尾根分岐点
植林境
植林境
植林境
220m支尾根分岐点で植林境が終わり、雑木尾根を直進する。
220m支尾根分岐点
雑木尾根
雑木尾根
150m鞍部あたりで緩い尾根となり、そのまま尾根上を進む。
150m平坦鞍部
右に溝状の幅広道が現われ、下っていくと左に炭焼窯跡とおぼしき小穴を見る。
幅広道出合い
炭焼窯跡?(逆方向)
幅広道を下りササヤブをすぐ抜けると、民家横でトタン柵をまたぐ。
幅広道
ササヤブ
トタン柵
左の低い防獣フェンス沿いに畔を進み、水源地近くの集落道へ出る。
防獣フェンス沿いに畔を歩く
集落道出合い・水源地(逆方向)
一之瀬公民館に立ち寄る。入口に一石一字塔の石仏と庚申塚がある。
一之瀬公民館
石仏(一字一石塔)・庚申塚
交通量のある県道を避けながら集落道を歩いて駐車地へ向かう。
一ノ瀬からいぬくす山方向(右)
西ノ嶽(中央)
駐車地近くに「浮石義民直訴之碑」が建つ。浮石は旧豊田町だが、浮石での直訴を逃したので、内日で幕府巡見史を待ち構え、なんとか直訴を達成したという。
石碑「浮石義民直訴之地」
説明板
■山名について
▲いぬくす山
小野村の地下上申絵図(地下図)ではこの山の西側(内日上側)の谷に「大谷」と記されており、現在の地形図で破線道がついている谷と判断され、山の位置の根拠とした。
山名については、地下上申隣村境目書には「いふくす山」とあり、山口県風土誌でも「イフクス山」とある。
「いふくす」とは聞きなれない言葉で昔の方言かもしれないと思い、調べてみたが適当な言葉がみつからない。
絵図に書かれた字をよく見ると、「いふくす山」の「ふ」の字は「ぬ」の字に読める。「婦(ふ)」のくずし字は「ぬ」によく似ていることから、ひょっとしたら「ふ」でなく「ぬ」が正しいのではないかと思いついた。
そこで隣村境目書の原文にあたったところ、こちらは「婦」のくずし字と思われる。
また大字井田の小字名を調べると、山地番に「犬楠(いぬくす)」があった。
これらから山名は絵図で読めるとおり「いぬくす山」と読むのが正しく、境目書・風土誌は何らかの事情で読み誤ったのではないかと推測した。
「いぬぐす(いぬくす)」とはタブノキの別名で、タブノキはクスノキ科である。クスノキほどには用途がないのでイヌグスと呼んだようである。
藤ヶ嶽の俗称という「ユウノキ」の例もあるように、このあたりは樹木を山名にすることが多かったのだろうか。
以上により、ここでは山の名として「いぬくす山」をとることとした。
藤ヶ嶽の南尾根ルートは谷詰めし、植林・雑木尾根を直登する。谷分岐から植林尾根にうまく取り付ければヤブコギなしに最短で上がれる。
西ノ嶽からいぬくす山の縦走路は、途中音無稲荷への分岐を過ごし390mピークを越えながら、主として植林境の尾根を長々とたどる。大谷へ下る分岐を過ごすと山頂に至る。
いぬくす山の尾根ルートの下りは、大字境の分岐がわかりづらいが、これをクリアすれば一気に下れる。(2024.3.4)
駐車地から藤ヶ嶽・西ノ嶽
西ノ嶽
(1,2クリックで拡大)
●駐車地~藤ヶ嶽
亀ヶ原の集落道(旧道)沿いに駐車。近くに浮石義民直訴の地の石碑が建っている。
県道を渡り集落道に入る。亀ヶ原公民館を過ごし最奥民家から狭い舗装の道に変わる。
県道横断部
集落道
最奥民家前
当初この先の分岐から、以前下ったことのある点の記ルートで登るつもりだったが、防獣フェンスが張られていたのであきらめ、先へ進むことにする。
谷が詰まってくると舗装が終わり、幅広の山道に変わる。
舗装道終点
幅広道
石垣沿い
沢を渡り、沢沿いに植林谷を詰めていくと谷が三方へ分かれる。右方向へテープがついていたので少したどってみたが、西ノ嶽へ直登するような感じなので分岐へ戻る。
沢渡り
沢沿い
植林沿い
谷分岐
右谷へのテープ
北に少しあがったところに平坦地があり、炭焼窯跡がある。平坦地の東端から左の植林尾根に取り付く。しばらく直登すると右から雑木林が合わさり、標高280mあたりで高木に出合う。さらに登ると両側が雑木の尾根に変わる。
平坦地・尾根取り付き
炭焼窯跡
植林尾根
右雑木尾根に変わる
雑木の高木
雑木尾根
登り切ると前回歩いた360m支尾根合流点に出て、後ろに北東側の展望が開けてくる。
雑木尾根
360m支尾根合流点
伐採跡の尾根
首かたげ山(左後方)・西ノ嶽
まもなく藤ヶ嶽山頂に着く。
山頂手前
藤ヶ嶽
四等三角点「ゆうのき」
●~西ノ嶽
次は西ノ嶽をめざす。前回とは逆方向で南東へ向かう。すでに報告済みなので以下写真のみとする。
前回見落とした450m鞍部南側に残る枯れ松の大木と、470m支尾根合流点のコン杭を新たに加えた。枯れ松は前回報告した「柱松」のなごりだろうか?
伐採尾根
340m支尾根分岐点
鞍部手前
330m伐採鞍部
伐採尾根
伐採尾根頂部の展望.
丸尾山方向・背後に笠ヶ岳
雑木尾根
雑木尾根
390m支尾根合流点
鞍部
雑木尾根
石杭(倒)・コン杭
雑木尾根
コン杭
450m支尾根合流点・コン杭(倒)
枯れマツ
平坦尾根・コン杭
470m支尾根合流点・コン杭
平坦尾根
植林境尾根・上り
山頂手前
西ノ嶽山頂
山名プレート
●~いぬくす山
次に2キロほど南に位置するいぬくす山をめざすことにする。12年前に河内側から西ノ嶽へ上がったときは、中間の340m①鞍部から南の林道へ下りたが、今回は長丁場の縦走となる。
山頂から南に下るとすぐ、東と南のそれぞれの分岐に私設道標を見る。また、西へ急勾配で下る尾根にもテープが付けられているようだ。先ほどの下方の谷分岐で見たテープが続いているのかもしれない。標高差300mはあるので、こちらから上がるのはかなりしんどいだろう。
道標(首かたげ山方面)
道標(音無稲荷・水源地北端方面)
尾根上にコン杭と石杭があり、煩雑だが確認できた範囲でルート図へ記載した。また、途中ところどころテープが付けられている。
以下主な留意点のみ記載する。
〇~340m②鞍部
雑木尾根を下ると440m②支尾根分岐点で植林境尾根に変わる。
雑木尾根
450m・コン杭
440m①平坦ピーク
440m②植林頂部・右へ
植林境
430m支尾根分岐点
植林境
400m支尾根分岐点で右に音無稲荷へ続く尾根ルートが分かれる。私設道標あり。
道標
支尾根分岐点・石杭
植林境・石杭
380m支尾根分岐点
植林境
340m①鞍部及び340m②鞍部では左(東)の谷から作業道が付いている。下方の林道川頭線から分岐したものだろう。
340m鞍部①・作業道出合い
鞍部・石杭
植林境上り・石杭
360mピーク・石杭
植林境下り
340m鞍部②
鞍部から作業道方向
〇~390mピーク
南東方向へ350mの小ピークを越えると、360mや380mの支尾根分岐点で方向を変えながら、390mピークまで植林境主体の緩い尾根が続く。
植林境上り
350m平坦ピーク・石杭(倒)
340m鞍部
植林境上り
コン杭
360m支尾根分岐点
コン杭(倒)
石杭
コン杭
石杭(倒)
380m支尾根合流点.
コン杭
390mピーク
390m支尾根分岐点・石杭
雑木尾根下り
380m支尾根分岐点・石杭
〇~いぬくす山
380m支尾根分岐点手前の鞍部で、雑木斜面を左へトラバースしながら360m鞍部へ下る。下降地点にはテープがいくつも付けてある。
先の道標によると、360m鞍部から右(西)の大谷へ下るルートもあるようだが、谷方向のテープ類は見えない。
380m鞍部・トラバース地点
トラバース下り
360m鞍部
鞍部石杭
西方の植林谷(大谷)
鞍部から小尾根に上がり(石杭がある)、370m支尾根合流点に出て、植林境をたどると、いぬくす山山頂に着く。
西方の植林谷(大谷)
370m支尾根合流点・コン杭
植林境尾根
山頂手前
いぬくす山山頂
山頂は狭く、三等三角点「大谷」が座る。展望は得られない。
山頂直下(東側)に高さ4、5mの岩がある。ほかに特徴となるものは見あたらない。
三等三角点「大谷」
山頂下(東側)の岩
●~駐車地
この先にもテープは散見できるものの、あまり歩かれてはいないようだ。
植林境尾根を下り、370mピークで方向を変えると、左植林斜面となる。
植林境下り
360m鞍部
植林尾根上り
370mピーク・プラポール
下方の谷の木にテープがある(植林管理用?)が、構わずそのまま尾根を直進。350m支尾根分岐点で植林境に沿ってふたたび方向を変えて下る。
植林境
350m支尾根分岐点
植林境
注意していたが支尾根分岐点を見過ごし、そのまま大字境の尾根を下ってしまった。戻ってみると、分岐点が少しシダヤブになっていて、古い赤テープが幹に巻いてある。
340m支尾根分岐点・シダヤブ
ここをクリアし雑木尾根を少し下ると、ふたたび植林境に出て歩きやすくなる。
雑木尾根
雑木尾根
植林出合い
310m支尾根分岐点
植林境
植林境
植林境
220m支尾根分岐点で植林境が終わり、雑木尾根を直進する。
220m支尾根分岐点
雑木尾根
雑木尾根
150m鞍部あたりで緩い尾根となり、そのまま尾根上を進む。
150m平坦鞍部
右に溝状の幅広道が現われ、下っていくと左に炭焼窯跡とおぼしき小穴を見る。
幅広道出合い
炭焼窯跡?(逆方向)
幅広道を下りササヤブをすぐ抜けると、民家横でトタン柵をまたぐ。
幅広道
ササヤブ
トタン柵
左の低い防獣フェンス沿いに畔を進み、水源地近くの集落道へ出る。
防獣フェンス沿いに畔を歩く
集落道出合い・水源地(逆方向)
一之瀬公民館に立ち寄る。入口に一石一字塔の石仏と庚申塚がある。
一之瀬公民館
石仏(一字一石塔)・庚申塚
交通量のある県道を避けながら集落道を歩いて駐車地へ向かう。
一ノ瀬からいぬくす山方向(右)
西ノ嶽(中央)
駐車地近くに「浮石義民直訴之碑」が建つ。浮石は旧豊田町だが、浮石での直訴を逃したので、内日で幕府巡見史を待ち構え、なんとか直訴を達成したという。
石碑「浮石義民直訴之地」
説明板
■山名について
▲いぬくす山
小野村の地下上申絵図(地下図)ではこの山の西側(内日上側)の谷に「大谷」と記されており、現在の地形図で破線道がついている谷と判断され、山の位置の根拠とした。
山名については、地下上申隣村境目書には「いふくす山」とあり、山口県風土誌でも「イフクス山」とある。
「いふくす」とは聞きなれない言葉で昔の方言かもしれないと思い、調べてみたが適当な言葉がみつからない。
絵図に書かれた字をよく見ると、「いふくす山」の「ふ」の字は「ぬ」の字に読める。「婦(ふ)」のくずし字は「ぬ」によく似ていることから、ひょっとしたら「ふ」でなく「ぬ」が正しいのではないかと思いついた。
そこで隣村境目書の原文にあたったところ、こちらは「婦」のくずし字と思われる。
また大字井田の小字名を調べると、山地番に「犬楠(いぬくす)」があった。
これらから山名は絵図で読めるとおり「いぬくす山」と読むのが正しく、境目書・風土誌は何らかの事情で読み誤ったのではないかと推測した。
「いぬぐす(いぬくす)」とはタブノキの別名で、タブノキはクスノキ科である。クスノキほどには用途がないのでイヌグスと呼んだようである。
藤ヶ嶽の俗称という「ユウノキ」の例もあるように、このあたりは樹木を山名にすることが多かったのだろうか。
以上により、ここでは山の名として「いぬくす山」をとることとした。
2024-03-12 22:30
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