水晶ヶ嶽・屋形山・御伊勢山(美祢市伊佐町奥万倉・宇部市奥万倉) [県北部の山]
『防長風土注進案』に山名が出てくる高丸山と屋形山を探索するため、美祢市側から市境尾根へ上がり、宇部市側の御伊勢山まで縦走してみた。(2017.12.02)
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●駐車地~水晶ヶ嶽~鷺ノ子山
1970年に廃校となった堀越小学校の跡地に建てられた堀越コミュニティセンターの駐車場に車を置かせてもらう。
堀越コミュニティセンター
旧堀越小学校校舎
引塚集落で古老をお見かけしたので、「高丸山」という山をご存知か尋ねてみた。
Iさん(70代)によると、「そう言えば堀越小学校の校歌に桜山や高丸という名前が出てくる」とのこと。
「学校の裏山のことではないですか。サイコロ大の石が出ると古書にはありますが」と聞くと、
「いいや、それなら『水晶ヶ嶽』のことだろう。小さいころにみんなで登って、小さな四角い石を拾ったりしたことがある。山頂の禿げたあたりに石があった」という
このあたりのことに詳しいお年寄りがおられるというので、自宅まで同行していただいた。
Mさん(80代)を伺うと、奥から大きな手書きの複写地図を出して来られた。引塚集落周辺の字図らしい。風土注進案に出てくる地名があちこちに記載されている。Mさんも高丸山はご存知なかったが、地図を見ると「高丸」という地名が尾根に近い谷間に記されている。さらに、その上方の尾根上に「水晶ヶ嶽」という名があった。
地形図に記載された引塚集落から山へ向かう実線の道は現在荒れているらしく、最近上がったことがあるという別の道を教えていただき、登山口に向かう。
観音小堂
県道を南下し、ひとつ南側の谷から集落道へ入る。
集落道入口
集落道
最奥民家の横から山道となる。
作業道らしいが、やや荒れており、分岐も多く迷いやすい。
最奥民家・山道取り付き
耕作地沿い
分岐(左へ)
植林沿い
分岐(左へ)
尾根へ上がり、支尾根を巻き、次の支尾根に上がって左折するとトタン廃小屋を右に見る。
尾根へ出る
右下から道が合流
分岐(左へ)
平坦道
尾根へ出て左へ
トタン廃小屋
道を直進し支尾根を右に巻くと先でシダヤブとなるので、小屋の10mほど先から右の平坦地へ入り、右に巻きながら支尾根上に上がる。
右の平坦地(道)
植林沿い
支尾根へ上がる
平坦尾根を少し進むと右へ巻く道(先で行き止まりとなる)と分かれ、前方の支尾根に取り付くことにする。尾根上はシダが被るようなので、踏み跡を左に少し巻きながら進み(左下の谷に溜池を見る)、植林境の尾根に取り付く。
支尾根・右の巻き道
左下の溜池
植林尾根
植林境尾根
植林境尾根
勾配が緩むと雑木尾根となり、登り切ると標高340m地点で右の市境尾根と合わさる。
雑木尾根
340m支尾根合流点
左折し雑木尾根を登り切ると370mピークの水晶ヶ嶽山頂に着く。樹木に囲まれ展望は得られない。
賽の目石がないか山頂周辺を探索してみたが、落ち葉で被われ地面が見づらく、それらしき石は見つけられない。
鞍部
370mピーク手前
水晶ヶ嶽山頂
石探しをあきらめ、先日歩いた380mピーク(鷺ノ子山)まで歩く。
平坦尾根
370m支尾根合流点
平坦尾根
380m支尾根合流点
鷺ノ子山
●~屋形山
市境尾根を370m支尾根分岐点まで戻り、市境と別れ、南へ支尾根を下る。
時々石杭を確認しながらやや荒れた雑木尾根を下り、ヤブを少し分けると高圧線鉄塔と出合う。
雑木尾根・下り
370m支尾根分岐点
360m鞍部
石杭・360m支尾根分岐点
石杭
雑木尾根・下り
鞍部
350m支尾根分岐点①
350m支尾根分岐点②
雑木尾根・下り
330m支尾根分岐点①・石杭
330m支尾根分岐点②・石杭「楠町有林」
雑木尾根・下り
310m支尾根分岐点
雑木ヤブ・鉄塔地直前
鉄塔
巡視路を下るとすぐに石杭を見て、すぐ先で巡視路分岐となり左道へ下る。
すぐの鞍部で左谷へ下る巡視路と分かれ、尾根を直進する。
巡視路分岐(左へ)
鞍部・巡視路(左へ分岐)
280m支尾根分岐点で石杭「楠町有林」とポールを見て、直進の切開きと分かれ、右の支尾根へ下る。
植林だだっ広い植林尾根となり、下り切ると破線道の峠へ降り立つ。左右に作業道が残る。
280m支尾根分岐点・石杭・ポール
雑木尾根・下り
雑木尾根
峠
峠の左(東)方向
峠の右(西)方向
前方の植林境尾根を登ると雑木尾根に変わる。一旦タケ交じりの平坦部を横切り、左からの支尾根と合わさりながら登り切ると平坦ピークの屋形山山頂に出る。そばに四等三角点(点名「道祖」)を見る。樹木に遮られ展望は得られない。
植林境尾根
雑木尾根
タケ交じり平坦尾根
雑木尾根
300m支尾根合流点
雑木尾根
三角点ピーク手前
屋形山山頂
●~御伊勢山
尾根を南西方向へ向かうと小岩が重なった支尾根分岐点に着く。
雑木尾根
310m支尾根分岐点
雑木尾根を下ると右植林谷となり、鞍部を登り返す。雑木尾根となり300m平坦ピークへ出る。
植林境・下り
290m鞍部
雑木尾根・上り
300m平坦ピーク
緩やかな疎林尾根を下っていくと、290mの支尾根分岐あたりからヤブ気味の雑木尾根となる。国調多角点の赤プラ杭を見るようになると切開きが現われ、鞍部で登り返す。
雑木尾根・下り
平坦鞍部
290m雑木平坦尾根
290m支尾根分岐点
雑木平坦尾根・下り
国調多角点プラ杭
国調多角点プラ杭・鞍部
倒木等で荒れた尾根となるので、右の疎林斜面に逃げながら登る。雑木尾根に出て登り切ると御伊勢山の山頂小広場に出る。石灯篭や古墓らしきものを見る。展望は得られない。
270m支尾根合流点
ヤブ尾根を右によける
疎林斜面を登る
雑木尾根へ出る
御伊勢山山頂
山頂の石灯篭
墓?
●~県道~駐車地
岩や石灯篭の間の踏み跡を下ると、大岩の下に石祠の外宮がある。
外宮
さらに下ると平坦地となり、巨岩の下に内宮を見る。最近参られた様子はない。
内宮
内宮(横から)
南へ幅広い参道の山道を下る。途中、石で囲われた平坦地を左に過ごし、どんどん下っていくと標高160mの鞍部で分岐となる。
山道(参道)
山道
平坦地
山道
分岐(直進する)
右道を取るつもりで少し下ってみたが、すぐ先で分岐もあり、わかりづらいので、鞍部へ戻り、植林境の尾根を下る。
最後は右からの山道と合わさり、すぐ先でトタン囲いをまたぐと県道から少し入った舗装道へ降り立つ。
植林沿い
下山口手前
下山口(逆方向)
県道出合い(逆方向)
県道をたどり駐車地のコミュニティセンターまで戻る。歩道がないので歩きづらいが、通行量が少ないのでそれほど苦にはならない。
県道擁壁上の道祖神
県道・市境
■山名考
◆高丸山(水晶ヶ嶽)
『防長風土注進案』萬倉村・今富村の岩山の項に「塞(賽)ノ目石 堀越村之内高丸山ニ有り 但大キハ弐歩角位委(悉)く四角錆色にして御座候事」とある。また川數の項には「蟇塚(引塚)川 但上は堀越村高丸より出、拾丁程西流して繪堂にて萬倉川へ落合、流末川幅壹間程」とある。このことから高丸の地の上方にある山と考えられ、地元の古老の話や所持されている字図から判断すると「水晶ヶ嶽」と呼ばれている山がこれに当たると推測される。
なお地下上申絵図には高丸および高丸山の名は見当たらない。また『山口県地名明細書』の奥万倉村の項には蟇塚の小名として高丸の名があり、「たかまろ」と振られている。
◆屋形山
『防長風土注進案』萬倉村・今富村の大山の項に信田ノ丸城山と並んでその名があり、地下上申絵図にも山名が見える。
山名の連想から当初御伊勢山のことかと考えたが、地下上申絵図では主尾根上に記されており、信田ノ丸から二つ道祖へ峠を越える山道との位置から判断すると、三角点ピークあたりの山と考えられる。ただし三角点のあるピークよりは、南西へ向かった310m支尾根分岐点の、小岩が重なるあたりが山頂の趣がある。
また『山口県地名明細書』の奥万倉村の項には迫ノ浴の小名として矢方(やかた)の名がある。
屋形(やかた)には、領主等の住まいといった意味のほか仮の住まいといった意味もあるようなので、案外山びとの小屋などがあったのかも知れない。
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●駐車地~水晶ヶ嶽~鷺ノ子山
1970年に廃校となった堀越小学校の跡地に建てられた堀越コミュニティセンターの駐車場に車を置かせてもらう。
堀越コミュニティセンター
旧堀越小学校校舎
引塚集落で古老をお見かけしたので、「高丸山」という山をご存知か尋ねてみた。
Iさん(70代)によると、「そう言えば堀越小学校の校歌に桜山や高丸という名前が出てくる」とのこと。
「学校の裏山のことではないですか。サイコロ大の石が出ると古書にはありますが」と聞くと、
「いいや、それなら『水晶ヶ嶽』のことだろう。小さいころにみんなで登って、小さな四角い石を拾ったりしたことがある。山頂の禿げたあたりに石があった」という
このあたりのことに詳しいお年寄りがおられるというので、自宅まで同行していただいた。
Mさん(80代)を伺うと、奥から大きな手書きの複写地図を出して来られた。引塚集落周辺の字図らしい。風土注進案に出てくる地名があちこちに記載されている。Mさんも高丸山はご存知なかったが、地図を見ると「高丸」という地名が尾根に近い谷間に記されている。さらに、その上方の尾根上に「水晶ヶ嶽」という名があった。
地形図に記載された引塚集落から山へ向かう実線の道は現在荒れているらしく、最近上がったことがあるという別の道を教えていただき、登山口に向かう。
観音小堂
県道を南下し、ひとつ南側の谷から集落道へ入る。
集落道入口
集落道
最奥民家の横から山道となる。
作業道らしいが、やや荒れており、分岐も多く迷いやすい。
最奥民家・山道取り付き
耕作地沿い
分岐(左へ)
植林沿い
分岐(左へ)
尾根へ上がり、支尾根を巻き、次の支尾根に上がって左折するとトタン廃小屋を右に見る。
尾根へ出る
右下から道が合流
分岐(左へ)
平坦道
尾根へ出て左へ
トタン廃小屋
道を直進し支尾根を右に巻くと先でシダヤブとなるので、小屋の10mほど先から右の平坦地へ入り、右に巻きながら支尾根上に上がる。
右の平坦地(道)
植林沿い
支尾根へ上がる
平坦尾根を少し進むと右へ巻く道(先で行き止まりとなる)と分かれ、前方の支尾根に取り付くことにする。尾根上はシダが被るようなので、踏み跡を左に少し巻きながら進み(左下の谷に溜池を見る)、植林境の尾根に取り付く。
支尾根・右の巻き道
左下の溜池
植林尾根
植林境尾根
植林境尾根
勾配が緩むと雑木尾根となり、登り切ると標高340m地点で右の市境尾根と合わさる。
雑木尾根
340m支尾根合流点
左折し雑木尾根を登り切ると370mピークの水晶ヶ嶽山頂に着く。樹木に囲まれ展望は得られない。
賽の目石がないか山頂周辺を探索してみたが、落ち葉で被われ地面が見づらく、それらしき石は見つけられない。
鞍部
370mピーク手前
水晶ヶ嶽山頂
石探しをあきらめ、先日歩いた380mピーク(鷺ノ子山)まで歩く。
平坦尾根
370m支尾根合流点
平坦尾根
380m支尾根合流点
鷺ノ子山
●~屋形山
市境尾根を370m支尾根分岐点まで戻り、市境と別れ、南へ支尾根を下る。
時々石杭を確認しながらやや荒れた雑木尾根を下り、ヤブを少し分けると高圧線鉄塔と出合う。
雑木尾根・下り
370m支尾根分岐点
360m鞍部
石杭・360m支尾根分岐点
石杭
雑木尾根・下り
鞍部
350m支尾根分岐点①
350m支尾根分岐点②
雑木尾根・下り
330m支尾根分岐点①・石杭
330m支尾根分岐点②・石杭「楠町有林」
雑木尾根・下り
310m支尾根分岐点
雑木ヤブ・鉄塔地直前
鉄塔
巡視路を下るとすぐに石杭を見て、すぐ先で巡視路分岐となり左道へ下る。
すぐの鞍部で左谷へ下る巡視路と分かれ、尾根を直進する。
巡視路分岐(左へ)
鞍部・巡視路(左へ分岐)
280m支尾根分岐点で石杭「楠町有林」とポールを見て、直進の切開きと分かれ、右の支尾根へ下る。
植林だだっ広い植林尾根となり、下り切ると破線道の峠へ降り立つ。左右に作業道が残る。
280m支尾根分岐点・石杭・ポール
雑木尾根・下り
雑木尾根
峠
峠の左(東)方向
峠の右(西)方向
前方の植林境尾根を登ると雑木尾根に変わる。一旦タケ交じりの平坦部を横切り、左からの支尾根と合わさりながら登り切ると平坦ピークの屋形山山頂に出る。そばに四等三角点(点名「道祖」)を見る。樹木に遮られ展望は得られない。
植林境尾根
雑木尾根
タケ交じり平坦尾根
雑木尾根
300m支尾根合流点
雑木尾根
三角点ピーク手前
屋形山山頂
●~御伊勢山
尾根を南西方向へ向かうと小岩が重なった支尾根分岐点に着く。
雑木尾根
310m支尾根分岐点
雑木尾根を下ると右植林谷となり、鞍部を登り返す。雑木尾根となり300m平坦ピークへ出る。
植林境・下り
290m鞍部
雑木尾根・上り
300m平坦ピーク
緩やかな疎林尾根を下っていくと、290mの支尾根分岐あたりからヤブ気味の雑木尾根となる。国調多角点の赤プラ杭を見るようになると切開きが現われ、鞍部で登り返す。
雑木尾根・下り
平坦鞍部
290m雑木平坦尾根
290m支尾根分岐点
雑木平坦尾根・下り
国調多角点プラ杭
国調多角点プラ杭・鞍部
倒木等で荒れた尾根となるので、右の疎林斜面に逃げながら登る。雑木尾根に出て登り切ると御伊勢山の山頂小広場に出る。石灯篭や古墓らしきものを見る。展望は得られない。
270m支尾根合流点
ヤブ尾根を右によける
疎林斜面を登る
雑木尾根へ出る
御伊勢山山頂
山頂の石灯篭
墓?
●~県道~駐車地
岩や石灯篭の間の踏み跡を下ると、大岩の下に石祠の外宮がある。
外宮
さらに下ると平坦地となり、巨岩の下に内宮を見る。最近参られた様子はない。
内宮
内宮(横から)
南へ幅広い参道の山道を下る。途中、石で囲われた平坦地を左に過ごし、どんどん下っていくと標高160mの鞍部で分岐となる。
山道(参道)
山道
平坦地
山道
分岐(直進する)
右道を取るつもりで少し下ってみたが、すぐ先で分岐もあり、わかりづらいので、鞍部へ戻り、植林境の尾根を下る。
最後は右からの山道と合わさり、すぐ先でトタン囲いをまたぐと県道から少し入った舗装道へ降り立つ。
植林沿い
下山口手前
下山口(逆方向)
県道出合い(逆方向)
県道をたどり駐車地のコミュニティセンターまで戻る。歩道がないので歩きづらいが、通行量が少ないのでそれほど苦にはならない。
県道擁壁上の道祖神
県道・市境
■山名考
◆高丸山(水晶ヶ嶽)
『防長風土注進案』萬倉村・今富村の岩山の項に「塞(賽)ノ目石 堀越村之内高丸山ニ有り 但大キハ弐歩角位委(悉)く四角錆色にして御座候事」とある。また川數の項には「蟇塚(引塚)川 但上は堀越村高丸より出、拾丁程西流して繪堂にて萬倉川へ落合、流末川幅壹間程」とある。このことから高丸の地の上方にある山と考えられ、地元の古老の話や所持されている字図から判断すると「水晶ヶ嶽」と呼ばれている山がこれに当たると推測される。
なお地下上申絵図には高丸および高丸山の名は見当たらない。また『山口県地名明細書』の奥万倉村の項には蟇塚の小名として高丸の名があり、「たかまろ」と振られている。
◆屋形山
『防長風土注進案』萬倉村・今富村の大山の項に信田ノ丸城山と並んでその名があり、地下上申絵図にも山名が見える。
山名の連想から当初御伊勢山のことかと考えたが、地下上申絵図では主尾根上に記されており、信田ノ丸から二つ道祖へ峠を越える山道との位置から判断すると、三角点ピークあたりの山と考えられる。ただし三角点のあるピークよりは、南西へ向かった310m支尾根分岐点の、小岩が重なるあたりが山頂の趣がある。
また『山口県地名明細書』の奥万倉村の項には迫ノ浴の小名として矢方(やかた)の名がある。
屋形(やかた)には、領主等の住まいといった意味のほか仮の住まいといった意味もあるようなので、案外山びとの小屋などがあったのかも知れない。
2017-12-06 00:39
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