三上山・綾ヶ峰(防府市久兼) [県央部の山]
今年の初歩きで、大平山北側の山塊を11年ぶりに縦走してみた。麓の集落付近の景色以外は全く記憶に残っておらず、山行中ずっと、初めての山を歩くような感じだった。前回の記録をろくに調べもせず臨んだら、「麓の中村集落を起点にして、地形図の破線道を目安に取り付き、すぐに道が怪しくなると、棚田跡の谷をどうにか詰めて、主稜線へ出たら明瞭道に出会う」といった前回と全く同様の展開となり、後日、別の歩きやすい道を探す羽目となった。こうした点では10年前とあまり進歩がないということだろう。
縦走路は、最近市有林の境界調査や地籍調査に入ったらしく、ピンクの測量テープが付けられ、あわせて尾根の切り開きがなされていて、前回と比べ格段に歩きやすくなっている。主稜線上では、途中の約500m区間を除けば切り開きの道が続き、今のところ楽に歩ける。ただ、日が当たる所は、いずれ雑木やイバラがはびこることになるだろう。
また、縦走路上では四等三角点を三つ確認することができ、余裕があれば大平山まで足をのばせる。展望は、最初の三上山と大平山牧場跡付近の尾根だけである。(2012.01.02、01.08)
(クリックで拡大)
中村集落に入る手前に駐車スペースがある。中村バス停の手前から集落道に入り、すぐに石仏と「日坂小学開学の地」の石碑が並ぶ所で右折する。
登山口の地蔵・石碑
橋をわたると、上の集落に通じる舗装道を登る。突き当たりの民家で左折し、山道に入る。
最上部民家分岐(左へ)
土壁のトタン小屋を左に過ごし右折する(左の畑の中に宝篋印塔を見ることができる)。
トタン小屋
畑の宝篋印塔
道は地形図上の破線道があるスギ谷の所から左の巻き道となり先へ続くが、スギ谷の手前から右の支尾根に上がる踏み跡をたどる(測量テープあり)。スギ谷に入り地形図のほぼ破線道どおり進み、主稜線に出ることもできるが、道は不明瞭で荒れているので勧められない。
山道分岐(右へ)
支尾根に取り付くと、昔は作業道だったと思われる深い堀割状の道となる。
堀割状の道
これを忠実にたどり、左にヒノキ林が現れるとまもなく主尾根の鞍部に出る。右に和字へ通じる道が下っている。
主尾根に出る
和字への山道分岐
少し先で雑木尾根の上りとなり、これを登り切ると削平された平坦部に出る。
尾根取り付き
雑木尾根
平坦部の奥に手水鉢と台座跡らしき石組みを見る。
手水鉢
台座跡
少し登ると三上山山頂に着く。
山頂は測量のため伐採され、中央に石祠がある。中の下駄を履いた仏像は行者様(役行者)だろう。ここ最近お参りされた様子はない。四等三角点は石祠のすぐ北側にある。
三上山山頂
石祠
山頂からは向かいの大谷山や真田ヶ岳などが望める。
大谷山
いよいよ縦走路にかかる。測量テープが続く雑木尾根を一旦下りピークを過ぎると、左側植林帯となる。
測量テープの続く雑木尾根
ヒノキ林境
登り返すと、「防府市 282」と書かれた真新しいプラスチックの標柱を見る。今回の境界調査で設置されたようだ。この先随所で出会うことになる。
標柱282
直ぐ先の390m小ピークで植林帯が終わり、雑木のヤブ尾根に入る。ここからしばらくは境界調査の切り開きやテープが途切れる。
390mピーク
雑木ヤブ尾根
何とかスギ植林の鞍部に出て、少し荒れた雑木尾根を登る。
雑木尾根
右から支尾根が合わさった所で標柱329を見ると、再び切り開き道となる。右の支尾根方向にも切り開きが続いている。
標柱329・切り開き分岐
さらに100mほど進むと、四等三角点と標柱331のある483.8mピークに着く。雑木に囲まれ展望はない。
483.8mピーク
平坦尾根を先に進むと、しばらくは標柱が連続する。
標柱が連続する
鞍部から登り返し、標柱340で左に方向を振って進むと、標柱76を見る。ここで左の支尾根へ切り開きが分かれる。
標柱76
この先しばらくは標柱が途絶えるが、切り開き道は続く。
雑木尾根
雑木尾根を登り切った560mピークで、切り開きが右の支尾根に分かれるが、左の主稜線の切り開きを進む。
560mピーク
平坦尾根から小ピークを越え、雑木尾根を登り切って少し進んだ所が、四等三角点のある615.0mピーク、綾ヶ峰山頂である。ここも雑木に阻まれ、展望は得られない。
山頂手前の緩い登り
綾ヶ峰山頂
さらに切り開きの道を進むが、このあたりからやや切り株が目立つようになる。標柱77を確認するとすぐ先で切り開きが左に分かれる(入口にはテープが張られている)。
切り株目立つ山道
標柱77
堀割のある鞍部を過ぎると、平坦尾根が続き、標柱341のある標高576m地点に着く。
標柱341(後ろに有刺鉄線柵)
ここから牧場との境に設置された有刺鉄線柵沿いに平坦尾根を進むことになる。途中左に展望が開ける。
有刺鉄線沿いの切り開き道
標柱342地点で切り開き道が有刺鉄線柵と分かれ、南の支尾根方向へ下っている。
標柱342
このまま下ると堀溝方面へ向かうと思われるので、直ぐ先のヒノキ林に変わるところから左(東方向)の少しヤブ気味の踏み跡に入り、そのまま有刺鉄線柵と平行してヒノキ林境を下る。
下山口方面分岐
ヒノキ植林境
一旦鞍部に降り登り返すと、牧場出口近くの舗装道の法面上に出る。舗装道を右に進めば、すぐに大平山からの車道と出会う。
下山口の法面
駐車地へ戻る途中に「ふるさと牧場」があり、高さが10.5mという石垣棚田を見学した。周辺の耕作地でも昔の棚田が利用されており、昔ながらの美しい景観が楽しめる。
石垣棚田
●山名考
356.4mピークの山名「三上山(さんじょうさん)」は、前回登った際、地元の方から教えていただいた。中村と半明(はんみょう)の集落でそれぞれ別の方からその名を聞いた。役行者を祀る三上山という名の山は、県内でもいくつかある。
615.0mピークの「綾ヶ峰」は、「防長風土注進案」の「真尾村荒図」に「綾ヶ嶽」の名が見え、周辺の小字名には「綾ヶ峰」の名がある。また風土注進案では、真尾村の谷溝川の項に、谷川筋として「綾ヶ嶽より下ル堀溝谷迄」と書かれており、綾ヶ嶽からの水が堀溝側へ流れ下っていることが分かる。これが位置特定の決め手になると思われる。山名は、小字名の綾ヶ峰を採用した。
なお、「防長百名山」の巻末リストには「稜ヶ岳 615m」とあるが、誤記載だろう。
また、483.8mピークの基準点名も「綾ヶ峰」である。これは、615.0mピークと483.8mピークのいずれも地番上の小字名は綾ヶ峰であることから、615.0mピークの基準点名に大字名の「真尾」を採用し、483.8mピークの方は小字名の「綾ヶ峰」を付けたものだろう。
ちなみに、356.4mピーク(三上山)の基準点名は「久兼」で、こちらも大字名を付けている。
なお、前述の真尾村荒図には綾ヶ嶽の北に「細嶽」が記されている。防長百名山のリストには「細岳 550m」があり、これは、483.8mピークと615.0mピークの間の560mピークだと思われる。細嶽の位置については確証となるものはない。
縦走路は、最近市有林の境界調査や地籍調査に入ったらしく、ピンクの測量テープが付けられ、あわせて尾根の切り開きがなされていて、前回と比べ格段に歩きやすくなっている。主稜線上では、途中の約500m区間を除けば切り開きの道が続き、今のところ楽に歩ける。ただ、日が当たる所は、いずれ雑木やイバラがはびこることになるだろう。
また、縦走路上では四等三角点を三つ確認することができ、余裕があれば大平山まで足をのばせる。展望は、最初の三上山と大平山牧場跡付近の尾根だけである。(2012.01.02、01.08)
(クリックで拡大)
中村集落に入る手前に駐車スペースがある。中村バス停の手前から集落道に入り、すぐに石仏と「日坂小学開学の地」の石碑が並ぶ所で右折する。
登山口の地蔵・石碑
橋をわたると、上の集落に通じる舗装道を登る。突き当たりの民家で左折し、山道に入る。
最上部民家分岐(左へ)
土壁のトタン小屋を左に過ごし右折する(左の畑の中に宝篋印塔を見ることができる)。
トタン小屋
畑の宝篋印塔
道は地形図上の破線道があるスギ谷の所から左の巻き道となり先へ続くが、スギ谷の手前から右の支尾根に上がる踏み跡をたどる(測量テープあり)。スギ谷に入り地形図のほぼ破線道どおり進み、主稜線に出ることもできるが、道は不明瞭で荒れているので勧められない。
山道分岐(右へ)
支尾根に取り付くと、昔は作業道だったと思われる深い堀割状の道となる。
堀割状の道
これを忠実にたどり、左にヒノキ林が現れるとまもなく主尾根の鞍部に出る。右に和字へ通じる道が下っている。
主尾根に出る
和字への山道分岐
少し先で雑木尾根の上りとなり、これを登り切ると削平された平坦部に出る。
尾根取り付き
雑木尾根
平坦部の奥に手水鉢と台座跡らしき石組みを見る。
手水鉢
台座跡
少し登ると三上山山頂に着く。
山頂は測量のため伐採され、中央に石祠がある。中の下駄を履いた仏像は行者様(役行者)だろう。ここ最近お参りされた様子はない。四等三角点は石祠のすぐ北側にある。
三上山山頂
石祠
山頂からは向かいの大谷山や真田ヶ岳などが望める。
大谷山
いよいよ縦走路にかかる。測量テープが続く雑木尾根を一旦下りピークを過ぎると、左側植林帯となる。
測量テープの続く雑木尾根
ヒノキ林境
登り返すと、「防府市 282」と書かれた真新しいプラスチックの標柱を見る。今回の境界調査で設置されたようだ。この先随所で出会うことになる。
標柱282
直ぐ先の390m小ピークで植林帯が終わり、雑木のヤブ尾根に入る。ここからしばらくは境界調査の切り開きやテープが途切れる。
390mピーク
雑木ヤブ尾根
何とかスギ植林の鞍部に出て、少し荒れた雑木尾根を登る。
雑木尾根
右から支尾根が合わさった所で標柱329を見ると、再び切り開き道となる。右の支尾根方向にも切り開きが続いている。
標柱329・切り開き分岐
さらに100mほど進むと、四等三角点と標柱331のある483.8mピークに着く。雑木に囲まれ展望はない。
483.8mピーク
平坦尾根を先に進むと、しばらくは標柱が連続する。
標柱が連続する
鞍部から登り返し、標柱340で左に方向を振って進むと、標柱76を見る。ここで左の支尾根へ切り開きが分かれる。
標柱76
この先しばらくは標柱が途絶えるが、切り開き道は続く。
雑木尾根
雑木尾根を登り切った560mピークで、切り開きが右の支尾根に分かれるが、左の主稜線の切り開きを進む。
560mピーク
平坦尾根から小ピークを越え、雑木尾根を登り切って少し進んだ所が、四等三角点のある615.0mピーク、綾ヶ峰山頂である。ここも雑木に阻まれ、展望は得られない。
山頂手前の緩い登り
綾ヶ峰山頂
さらに切り開きの道を進むが、このあたりからやや切り株が目立つようになる。標柱77を確認するとすぐ先で切り開きが左に分かれる(入口にはテープが張られている)。
切り株目立つ山道
標柱77
堀割のある鞍部を過ぎると、平坦尾根が続き、標柱341のある標高576m地点に着く。
標柱341(後ろに有刺鉄線柵)
ここから牧場との境に設置された有刺鉄線柵沿いに平坦尾根を進むことになる。途中左に展望が開ける。
有刺鉄線沿いの切り開き道
標柱342地点で切り開き道が有刺鉄線柵と分かれ、南の支尾根方向へ下っている。
標柱342
このまま下ると堀溝方面へ向かうと思われるので、直ぐ先のヒノキ林に変わるところから左(東方向)の少しヤブ気味の踏み跡に入り、そのまま有刺鉄線柵と平行してヒノキ林境を下る。
下山口方面分岐
ヒノキ植林境
一旦鞍部に降り登り返すと、牧場出口近くの舗装道の法面上に出る。舗装道を右に進めば、すぐに大平山からの車道と出会う。
下山口の法面
駐車地へ戻る途中に「ふるさと牧場」があり、高さが10.5mという石垣棚田を見学した。周辺の耕作地でも昔の棚田が利用されており、昔ながらの美しい景観が楽しめる。
石垣棚田
●山名考
356.4mピークの山名「三上山(さんじょうさん)」は、前回登った際、地元の方から教えていただいた。中村と半明(はんみょう)の集落でそれぞれ別の方からその名を聞いた。役行者を祀る三上山という名の山は、県内でもいくつかある。
615.0mピークの「綾ヶ峰」は、「防長風土注進案」の「真尾村荒図」に「綾ヶ嶽」の名が見え、周辺の小字名には「綾ヶ峰」の名がある。また風土注進案では、真尾村の谷溝川の項に、谷川筋として「綾ヶ嶽より下ル堀溝谷迄」と書かれており、綾ヶ嶽からの水が堀溝側へ流れ下っていることが分かる。これが位置特定の決め手になると思われる。山名は、小字名の綾ヶ峰を採用した。
なお、「防長百名山」の巻末リストには「稜ヶ岳 615m」とあるが、誤記載だろう。
また、483.8mピークの基準点名も「綾ヶ峰」である。これは、615.0mピークと483.8mピークのいずれも地番上の小字名は綾ヶ峰であることから、615.0mピークの基準点名に大字名の「真尾」を採用し、483.8mピークの方は小字名の「綾ヶ峰」を付けたものだろう。
ちなみに、356.4mピーク(三上山)の基準点名は「久兼」で、こちらも大字名を付けている。
なお、前述の真尾村荒図には綾ヶ嶽の北に「細嶽」が記されている。防長百名山のリストには「細岳 550m」があり、これは、483.8mピークと615.0mピークの間の560mピークだと思われる。細嶽の位置については確証となるものはない。
2012-01-09 20:07
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