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金蔵寺山・六部山・金蔵山・中ノ田山・赤崎山(下関市菊川町吉賀・楢崎) [県西部の山]

4月6日に白山で海彦山彦さんとお会いしたとき、金蔵寺山の山名のことが話題となった。以来気になっていたので、調査とあわせて大字境の山を縦走してみた。
金蔵寺山は28年ぶり。六部山は26年ぶりで、慈光寺側から登っている。

金蔵寺山(こんぞうじさん)から六部山(ろくぶさん)への縦走ははじめて歩く。地形図を見て、六部山の山頂手前ではヤブの急登を覚悟していたが、植林境で、さほど荒れもなく登れた。
金蔵山(かねくらやま)北峰までは尾根の切り開きが残り、支障なく歩ける。山頂には植林に囲まれた中に石祠がしっかりと残っており驚いた。
下りの縦走では、植林境にネットが張ってあり興をそがれる。赤崎山の西側斜面は伐採中で、展望が楽しめる。(2024.5.3)

IMG_9166.JPG金蔵寺山北峰・南峰
IMG_9135金蔵山北峰・南峰・六部山.JPG金蔵山北峰・南峰・六部山
金蔵寺山・六部山・金蔵山・中ノ田山・赤崎山.jpeg(1,2クリックで拡大)

●駐車地~金蔵寺山南峰~北峰
岡枝小学校入口のところに駐車。
吉賀八幡宮の鳥居をくぐると、二つ目の鳥居の右手に「長門金蔵山毘沙門天参道」の石標を見る。石段を上がり八幡宮へ向かう。右に平行して毘沙門天の舗装参道が続く。
IMG_8998岡枝小入口・駐車地.JPG岡枝小入口・駐車地
IMG_9000吉賀八幡宮石鳥居・金蔵寺山.JPG吉賀八幡宮石鳥居
IMG_9002(石碑「毘沙門天参道」).JPG石標「毘沙門天参道」

左に大森社を過ごすと、立派な門構えの八幡宮境内へ着く。社殿左に小さな若宮がある。右手奥に北山神社があり、神社裏手に金蔵寺山への山道が続いているので、これに取り付く。
IMG_9003大森社.JPG大森社
IMG_9005吉賀八幡宮.JPG吉賀八幡宮
IMG_9006若宮.JPG若宮
IMG_9007北山神社.JPG北山神社
IMG_9009北山神社裏.JPG北山神社裏・山道取り付き

明瞭な山道を登ると、右尾根からの山道と合流する。
IMG_9010山道.JPG山道
IMG_9011尾根出合い.JPG尾根出合い

溝状の明確な山道をたどると道が左にトラバースするあたりで右の尾根道へ分かれる。分岐はやや不明瞭なので注意を要する。
IMG_9013山道.JPG山道
IMG_9014分岐・右へ.JPG分岐・右へ

あとは基本的に植林境をたどり、最後は雑木尾根を直登すると金蔵寺山山頂に達する。
IMG_9015尾根合流点・植林境.JPG尾根合流点・植林境
IMG_9017植林境.JPG植林境
IMG_9018左へ.JPG左へトラバース気味に
IMG_9019トラバース.JPGトラバース道
IMG_9020山頂手前の直登.JPG山頂手前の直登

ヤブ気味の山頂には毘沙門天の社殿の一部が残り、倒壊社殿や灯籠数基が散乱している。以前登ったときはササヤブが多かった記憶がある。今はヤブが薄くなったようだが、展望は得られない。
IMG_9024荒れた社殿の一部.JPG荒れた社殿の一部
IMG_9025倒壊社殿.JPG倒壊社殿

次に北峰をめざす。
雑木疎林尾根を進み、登り切ると180mピークの北峰に着く。樹木に囲まれ展望はない。埋もれかかった陶器の小皿があった。絵柄を見ると七福神らしいが毘沙門天ではないようだ。誰か戯れに残したものだろうか?
IMG_9027雑木尾根.JPG雑木尾根
IMG_9028鞍部.JPG鞍部
IMG_9029植林境・上り.JPG植林境・上り
IMG_9030支尾根合流.JPG支尾根合流
IMG_9031北峰山頂.JPG金蔵寺山北峰山頂
IMG_9032小皿(寿老人?).JPG小皿

●~六部山
六部山をめざす。植林境が左右にわかれるので右を取る。左方向にも測量テープがついているので注意を要する。
IMG_9034植林境・下り.JPG植林境・下り

150m支尾根分岐点から鞍部を登り返すと雑木尾根に変わる。
IMG_9036150m支尾根分岐点.JPG150m支尾根分岐点
IMG_9037鞍部.JPG鞍部
IMG_9038植林境・上り.JPG植林境・上り
IMG_9039雑木尾根・上り.JPG雑木尾根・上り
IMG_9040160m①支尾根合流点.JPG160m①支尾根合流点
IMG_9041160m②支尾根分岐点.JPG160m②支尾根分岐点
IMG_9042鞍部.JPG鞍部
IMG_9043雑木尾根・上り.JPG雑木尾根・上り

170mピークで西に方向を変え、登り切ると190m①支尾根合流点に着く。地籍図根三角点がある。
IMG_9044170mピーク.JPG170mピーク
IMG_9045雑木尾根・上り.JPG雑木尾根・上り
IMG_9046190m①支尾根合流点.JPG190m①支尾根合流点
IMG_9047地籍図根三角点.JPG地籍図根三角点
IMG_9048雑木尾根.JPG雑木尾根
IMG_9049190m②支尾根分岐点.JPG190m②支尾根分岐点

180m支尾根分岐点で尾根方向がやや不明瞭となるので、方向を確認しながら鞍部へ下る。
IMG_9050(尾根不明瞭・注意箇所).JPG180m支尾根分岐点・尾根不明瞭
IMG_9051雑木尾根・下り.JPG雑木尾根・下り
IMG_9052鞍部.JPG鞍部

登り返すと右側植林境の尾根となる。やや荒れてはいるが、ヤブをこぐほどではない。
植林境を忠実に登っていく。
IMG_9053植林境・上り.JPG植林境・上り
IMG_9055植林境.JPG植林境
IMG_9056植林境.JPG植林境

標高250mあたりで勾配が緩むと両側に小穴を見る。雑木尾根の切り開きを直進すると枯れシダの向こうに三等三角点「六部山」を見る。平坦な山頂は雑木に囲まれまったく展望はない。
IMG_9057小穴(左).JPG小穴(左側)
IMG_9059雑木林の切り開き.JPG雑木林の切り開き
IMG_9060六部山山頂.JPG六部山山頂
IMG_9061三等三角点「六部山」.JPG三等三角点「六部山」

●~金蔵山南峰~北峰
次は金蔵山をめざし、広く緩い尾根を西へ向かう。尾根上にはところどころ枯れシダがあり、よけながら進む。
250m支尾根分岐点で左に明瞭な切り開きがわかれるが、ここは直進する。

IMG_9063平坦雑木尾根・枯れシダ.JPG平坦雑木尾根・枯れシダ
IMG_9064250m支尾根分岐点.JPG250m支尾根分岐点
IMG_9065左(南西)尾根の切り開き.JPG左(南西)尾根の切り開き

240m支尾根分岐点から勾配のある雑木尾根の切り開きを下る。
IMG_9066240m支尾根分岐点.JPG240m支尾根分岐点
IMG_9067雑木尾根・下り.JPG雑木尾根・下り
IMG_9068雑木尾根切り開き・下り.JPG雑木尾根切り開き・下り

鞍部で二本のヒノキ大木を見て、登り返すとあっけなく230m①支尾根合流点の金蔵山南峰に着く。石杭「楢崎村有林」がある。
IMG_9069鞍部・2本のヒノキ大木.JPG鞍部・2本のヒノキ大木
IMG_9070雑木尾根・上り.JPG雑木尾根・上り
IMG_9072雑木尾根.JPG雑木尾根
IMG_9073230m①支尾根合流点.JPG金蔵山南峰山頂
IMG_9074石杭.JPG石杭
IMG_9076230m①支尾根合流点(逆方向).JPG南峰山頂(逆方向)

細長い山頂尾根を進み、230m②支尾根分岐点を西へ下る。鞍部を登り返し、240m支尾根合流点を過ごすと植林に出合う。
IMG_9077細長い平坦山頂.JPG細長い平坦尾根
IMG_9078230m②支尾根分岐点.JPG230m②支尾根分岐点
IMG_9079植林境・鞍部.JPG植林境・鞍部
IMG_9080植林終わり・雑木林・上り.JPG植林終わり、雑木林・上り
IMG_9082植林出合い・左へ.JPG植林出合い・左へ

植林境を左に向かうとすぐに石杭を見る。少し進むと、右の樹間に石積が見えたので、向かうと石祠だった。山頂部が植林され、石祠は植林中央の静かな空間にポツンとある。中には石が祀られているようだが今は祀り手もなさそうだ。
石祠を北峰山頂とする。山頂部植林の四方に花崗岩の石杭がある。展望はまったくない。
IMG_9083植林沿い・石杭.JPG植林沿い・石杭
IMG_9084金蔵山山頂・石祠.JPG金蔵山山頂・石祠
IMG_9085石祠(正面).JPG石祠(正面)
IMG_9086石祠(右から).JPG石祠(右から)
IMG_9087植林北端・石杭.JPG植林北端・石杭

●~金蔵山南峰~中ノ田山~赤崎山
帰路は金蔵山南峰まで戻り、南尾根を下る。
下るとまもなく植林境となる。
IMG_9092雑木尾根・下り.JPG雑木尾根・下り
IMG_9093植林境・下り.JPG植林境・下り

鞍部の先の200m支尾根分岐点で右から鹿除けネットが合わさる。この先しばらく左右にネットが離合を繰り返しながら植林沿いに続く。
IMG_9095200m支尾根分岐点・右に鹿除けネット出合い.JPG200m支尾根分岐点・右に鹿除けネット出合い
IMG_9096ネット・植林境・下り.JPGネット・植林境・下り

鞍部を登り返すと170m①ピークに着く。平凡な平坦ピークだが一応ここを中ノ田山(なかのだやま)山頂とする。
IMG_9097鞍部.JPG鞍部
IMG_9098170m①ピーク・左からネット出合い.JPG中ノ田山山頂・左からネット出合い

鞍部でネットを右にわけ、170m②ピークをネット伝いに下る。
IMG_9099両側ネット・植林・下り.JPG両側ネット・植林・下り
IMG_9100鞍部・右のネットわかれ.JPG鞍部・右のネットわかれ
IMG_9101左ネット・上り.JPG左ネット・上り
IMG_9102170mピーク②.JPG170mピーク②

170m③支尾根合流点で左にネットをわけると、すぐ右からネットが合わさる。
IMG_9103170m③支尾根分岐点・左のネットわかれ.JPG170m③支尾根分岐点・左のネットわかれ
IMG_9104右からネット出合い・植林尾根・下り.JPG右からネット出合い・植林尾根・下り

植林境をネット沿いにどんどん下っていくと鞍部でネットが右にわかれ、ネットからか解放される。右谷へネット沿いに道が続いているので、ここから下れるかもしれない。
IMG_9105ネット・植林尾根・下り.JPGネット・植林尾根・下り
IMG_9106鞍部・右のネットわかれ.JPG鞍部・右のネットわかれ

植林尾根を登ると120m①ピークに着く。この先雑木尾根となる。枯れ枝が散乱し、やや荒れ加減の尾根を進む。
IMG_9108植林尾根・上り.JPG植林尾根・上り
IMG_9109120m①ピーク.JPG120m①ピーク

鞍部を登り返し、120m②ピークを下る。尾根上がやや荒れているので、右に少し下ってみると、すぐに幅広の山道(作業道跡か?)に出る。
IMG_9110雑木尾根・鞍部.JPG雑木尾根・鞍部
IMG_9111雑木尾根・上り.JPG雑木尾根・上り
IMG_9112120m②ピーク.JPG120m②ピーク
IMG_9113幅広道(作業道跡?)へ出る.JPG幅広道(作業道跡?)へ出る

まもなく左に幅広道を分け、平坦な110m支尾根分岐点を下ると鞍部に出る。右の谷が広く伐採されている。
IMG_9114110m支尾根分岐点.JPG110m支尾根分岐点
IMG_9115雑木尾根・鞍部・右に伐採地.JPG雑木尾根・鞍部・右に伐採地
IMG_9116伐採谷.JPG伐採谷
IMG_9118鬼ヶ城・狩音山・笠ヶ岳.JPG鬼ヶ城・狩音山・笠ヶ岳

右の伐採地沿いに雑木尾根を登ると120m③ピークに着く。
IMG_9120雑木尾根・上り・.JPG雑木尾根・上り
IMG_9121120m③ピーク.JPG120m③ピーク

伐採地沿いにさらに下ると尾根上で作業道と出合う。
すぐに作業道を右に分けすると120m④ピークに着く。西側半面が広く展望できる。
IMG_9122作業道出合い.JPG作業道出合い
IMG_9130120m④ピーク.JPG120m④ピーク

鞍部を登り返し、いつのまにか100m小ピークを越える。
IMG_9132作業道・鞍部.JPG作業道・鞍部・100mピーク
IMG_9136100mピークから90mピーク方向.JPG100mピークから90mピーク方向

石杭のある鞍部を登り返すと伐採地の最終端、90mピークの赤崎山山頂に着く。ここにも石杭がある。
IMG_9137鞍部.JPG鞍部
IMG_914790mピーク・石杭.JPG赤崎山山頂・石杭

周辺が伐採され、西から北に大きく開ける。展望を楽しんだあと下山にかかる。
IMG_9140六万坊山.JPG六万坊山
IMG_9141鬼ヶ城・狩音山.JPG鬼ヶ城・狩音山
IMG_9142笠ヶ岳・勝陣山.JPG笠ヶ岳・勝陣山
IMG_9143寺山.JPG寺山
IMG_9144鳴滝山.JPG鳴滝山
IMG_9146金蔵山北峰・南峰・六部山.JPG金蔵山北峰・南峰・六部山

●~駐車地
石杭鞍部まで戻り、キャタピラ跡の残る作業道を急降下で下ると、勝負ヶ迫溜池の堰堤のところへ出る。
IMG_9148伐採斜面.JPG伐採斜面
IMG_9149作業道・石杭.JPG作業道・石杭
IMG_9151勝負が迫溜池.JPG勝負ヶ迫溜池

左折し、作業道を下っていくと、集落道へ出る。作業道は伐採中には立入禁止となるだろう。赤崎神社跡の情報を得られないかと思い、こちらへ下ってみたが、石杭鞍部から南の谷を下り、大浴溜池の方へ下った方が無難かもしれない。
IMG_9157西麓より90mピーク.JPG西麓より赤崎山

南麓の国道沿いを歩き、今日歩いた縦走路を遠望しながら戻る。
IMG_9167金蔵山北峰・南峰・六部山.JPG金蔵山北峰・南峰・六部山
IMG_9168金蔵寺山.JPG金蔵寺山

なお今回立ち寄らなかったが、八幡宮の右手に毘沙門堂の小堂があるようだ。山頂の寺の倒壊により移転したのかもしれない。


■山名について

▲金蔵山(かねくらやま)
北峰・南峰の二つの峰にわかれ、合わせると四つ(楢崎・貴飯・上岡枝・吉賀・上岡枝)の旧村境(大字境)に位置する。
北峰は、楢崎・貴飯(きば)・上岡枝の三つの旧村境にある。地下上申の隣村境目書及び絵図によると、楢崎・貴飯村では「金蔵山」、上岡枝村では境目書のみに「金倉山北之峰尾の鼻」を見る。
南峰は、楢崎村では北峰との区別なく「金蔵山」、上岡枝村では境目書のみに「金倉山南之はな」、吉賀(よしか)村では境目書に「おくの山」、絵図に「奥ノ原山」を見る。

山名について、地元での今の呼称は確認していないが、菊川町史(三)には楢崎の山として、「金倉(蔵)山 頂上に水神を祀って雨乞いをした」との記述があり、金蔵山を採用した。「金蔵」の読みについては、現在の小字を見ると貴飯・楢崎側とも「かねくら」とふりがなを振っていることから、「かねくらやま」とした。

なお、上岡枝村の境目書については、享保19年(1734年)に絵図とともに藩へ提出したが、その後隣村との不突合を指摘され、13年後の延享4年(1747年)に追加訂正している。ただ記述は詳細になったが、依然次のような不明な点がある。
① 河原田山(絵図に記載)と金倉山(絵図に記載なし)との区別が不明瞭。
② 六部山(絵図に記載)と向山(絵図に記載なし)との区別が不明瞭。
③ 村境の記載方法を時計回りから反時計回りとしたためか、誤って(?)金倉山と六部山の位置を逆に記載。そのためか、金倉山南峰から先の記述では六部山が省略されている。

▲金蔵寺山(こんぞうじさん)
地元では現在金蔵山(こんぞうさん)と呼ばれているようである。
「金蔵山」とはもともと山頂にあった毘沙門天の山号であり、寺の山号を付ける際に、奥山にあたる金蔵山(かねくらやま)の名を付けたのが、その後山名として呼ばれるようになったのではないかと推測する。

〇地下上申に基づく山名について
地下上申の吉賀村地下図によると、「奥ノ原山」がこの山にあたると思われる。ただし、山の北側から六部山あたりまでを「向山」とし、さらに六部山の西方にある標高230mピーク(金蔵山南峰)もなぜか「奥ノ原山」と記している。(注)八幡宮の西にある溜池や字名に「奥ノ原」の名が残る。
八幡宮のある麓から山側を眺めると六部山は後ろに隠れ、170mピークと230mピークが山続きに見えることもあるから、六部山を含めた170mピークの後ろ側の山を向山とし、170mから230mまでの前面に見える山域を奥ノ原山と呼んだのではないかとも推測できる。
いずれにしても、吉賀側では地下上申に「金蔵山」の山名は見あたらない。

〇毘沙門天の山号との関係について
毘沙門天の山号が「金蔵山」であることは、麓にある石標「長門金蔵山毘沙門天参道」でわかる。
寺の山号を付ける場合、実際に寺が建つところの山の名を付けることもあるが、平地に建つ場合など仏教に因んだ名を付けるようなこともある。そこで、たとえば「鳳凰山〇〇寺」という寺が建てられたことで、本来の山名があるのに寺の裏山を誤って鳳凰山と呼んだりするというようなことが生じる。

毘沙門天は地下上申やその絵図には記載はないことから、その後に建立されたと思われる。毘沙門天を建立し山号をつける際、奥ノ原山ではなく、隣村の呼称ではあるが音読みすると威厳がありそうな(?)、奥山の「金蔵山」の名を採用したのではないだろうか。
そして、毘沙門天を「金蔵山(こんぞうさん)」あるいは「金蔵寺」と呼びならわしていたのが、いつしか、170mピークの山自体を「金蔵山」と呼ぶようになったと思われる。

〇山名の呼称について
現在大字吉賀の小字名に「金蔵寺(こんぞうじ)」はあるが「金蔵」はない。
菊川町史(三)では町内の山岳として、「金蔵寺山 吉賀の東北にある。頂上に毘沙門天を祀る社があって、毎年、初寅の日には参拝人が多い。」との記述があり、金蔵山(かねくらやま)との混同を避けるため、あえてここでは「金蔵寺山」を採用した。

▲中ノ田山(なかのだやま)
地下上申楢崎村の境目書・絵図に山名が見える。
山頂の位置については次の3点を検討。

① 境目書によると山頂は中ノ田垰より北に位置する。
② 地形図では、中ノ田集落から破線道が標高170m鞍部に上がっている。
③ 絵図では、当時の道は堤(現在の向井原溜池と思われる)の南を通り、谷沿いに東の鞍部へ上がっている。

まず、②ではなく③を主な根拠とし、標高110m鞍部を中ノ田垰と判断。
次に、①により、山頂は、垰の北側に位置する三つの170m小ピークのいずれかと判断。
結論として、麓の中ノ田集落から尾根が上がっている170m①ピークを山頂とした。

▲赤崎山
地下上申楢崎村の境目書・絵図に山名が見える。吉賀村の境目書でも赤崎山を見るが、絵図では「赤崎松山」としている。
山頂の位置については、標高が同じようなピークが連なり悩むところだ。楢崎村の絵図では麓に赤崎社が描かれ、その上方に山があることはわかるが、位置の特定は難しい。吉賀村の絵図では100mピークか90mピークあたりに山名が記されている。現在の楢崎と吉賀の大字境は90mピークから南へ下っていることから、ここを赤崎山山頂とした。

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