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遠見山・高遠山・餅搗(上関町長島) [県東部の山]

室津や平生側から長島方向を見ると、上盛山の北西方向に特徴的な二つのピークが望め、特に西端のピークは一角獣のように切り立っており、以前から気になっていたので歩くことにした。帰路、四等三角点「中浦」ピークにも立ち寄る。(2015.04.02)
P1230606遠見山・鹿落し.JPG道路公園から遠見山・高遠山
遠見山・高遠山・餅搗.jpg (1,2クリックで拡大)

中ノ浦海浜公園の駐車場に車を置く。対岸に室津半島が眺められ、小さな海水浴場だが雰囲気はよい。
P1230609中ノ浦海浜公園.JPG中ノ浦海浜公園
P1230610大星山・鳩ヶ峰.JPG大星山・鳩ヶ峰
P1230611皇座山.JPG皇座山
P1230613遠見山.JPG遠見山

海浜沿いに車道を北へ向かうと、左の支尾根の斜面に明瞭な道があり、これに取り付いてみる。
山道を登っていくとすぐに耕作地へ出る。耕作用の山道だった。
P1230614コン擁壁の取り付き.JPGコン擁壁の取り付き
P1230615山道.JPG山道
P1230616耕作地.JPG耕作地
P1230617耕作地.JPG耕作地

耕作地の最上部から尾根へ取り付く。道も踏み跡もないが雑木疎林なのでヤブ漕ぎなしに歩ける。
P1230619雑木疎林尾根.JPG雑木疎林尾根
P1230620雑木疎林尾根.JPG雑木疎林尾根
P1230621平坦尾根.JPG平坦尾根
P1230622竹林.JPG竹林

鞍部で左の谷から上がっている古道と出会う。すぐに古道は右の巻き道に変わるので、そのまま尾根を登る。
P1230623古道.JPG古道
P1230624疎林尾根.JPG疎林尾根
P1230625疎林斜面.JPG疎林斜面
P1230626左に小岩.JPG左に小岩を過ごす

まもなくササが現れ始め、そのうちヤダケの密生ヤブとなる。
P1230627前方にササ.JPG前方にササ
P1230628密生したヤダケ.JPG密生したヤダケ

ヤダケの間をくぐり抜けながら登っていくと、勾配が緩むあたりでヤダケから解放される。まもなくタケが現れるが長くはない。
P1230629右斜面へ逃げる.JPG途中右斜面へ逃げる
P1230630平坦雑木尾根.JPG平坦雑木尾根
P1230631倒竹.JPG倒竹

右からの支尾根と合わさり左へ進むと、ヤブの中に三等三角点(点名:「平畑」)を見る。遠見山山頂である。
両側に小岩があるくらい、これと言った特徴的なものはない。樹木に遮られ展望も得られない。
P1230632山頂部の小岩.JPG遠見山山頂
P1230634三等三角点.JPG三等三角点
P1230635山頂部の小岩.JPG山頂(西方向から)

次は高遠山をめざし尾根を北西方向へ向かう。平坦尾根を進むと竹林となるが濃くはない。
P1230636平坦尾根.JPG平坦尾根
P1230637平坦尾根.JPG平坦尾根
P1230638竹林.JPG竹林

緩い尾根を登り返すと小岩のある標高140mの北西ピークへ着く。
樹間に祝島や牛島、前方に高遠山が望める。物見場所としてはこちらのピークの方が雰囲気がある。
P1230639小岩ピーク.JPG140mピーク
P1230641.JPG同上(北西方向から)
P1230642牛島.JPG牛島
P1230644祝島.JPG祝島
P1230646高遠山.JPG高遠山

雑木尾根を下り鞍部で登り返す。ガレ石を踏みながら登り切ると標高130mの高遠山山頂へ着く。
P1230647雑木尾根.JPG雑木尾根
P1230649鞍部.JPG鞍部
P1230650ガレ石の尾根.JPGガレ石の尾根
P1230651ガレ石の尾根.JPGガレ石の尾根
P1230655山頂.JPG高遠山山頂
P1230668山頂部(逆方向).JPG山頂部(逆方向)

山頂は狭い平坦地となり、各方向へ場所を移動すると、樹間越しに四方が望める。遠見山の後方に上盛山がわずかにのぞき、東に白井田から四代の山々が連なる。さらにその右方向に祝島、牛島、佐合島、室津半島の山々が望める。
P1230658遠見山・上盛山.JPG遠見山・上盛山
P1230659白井田の山並み.JPG白井田の山並み
P1230660四代の山並み.JPG四代の山並み
P1230661祝島.JPG祝島
P1230662牛島.JPG牛島
P1230663佐合島.JPG佐合島
P1230665小山・大星山・鳩ヶ峰.JPG小山・大星山・鳩ヶ峰
P1230657皇座山.JPG皇座山

三角点ピークまで戻り、南方向の尾根へ下る。タケヤブとなった平坦尾根を抜け、支尾根分岐を南東方向へ下る。南西尾根方向へも歩けそうだ。
P1230673竹林ヤブ.JPG竹林ヤブ
P1230676 130m支尾根分岐.JPG支尾根分岐

歩きやすい雑木疎林尾根が続く。
P1230677雑木疎林尾根.JPG雑木疎林尾根
P1230679.JPG雑木疎林尾根

鞍部で左下の谷に小溜池が望める。
P1230682平坦鞍部.JPG平坦鞍部
P1230684左に小溜池.JPG左に小溜池

枯れたヤダケを踏みながら平坦尾根を進み、70m平坦ピークから南側の支尾根へ下る。
P1230685枯れたヤダケ.JPG枯れたヤダケ
P1230686平坦ピーク.JPG平坦ピーク
P1230687疎林尾根.JPG疎林尾根

左にヒノキ林が現れるので、ヒノキ境の尾根を下っていくと舗装林道の終点部へ出る。
P1230688左ヒノキ林.JPG左ヒノキ林
P1230689ヒノキ林境.JPGヒノキ林境
P1230690舗装林道終点.JPG舗装林道終点
P1230691下降地点(逆方向).JPG下降地点(逆方向)
P1230692林道が先に延びる.JPG未舗装林道が先に延びる

舗装道を左へ下って海浜公園まで戻る。
P1230693舗装道を下る.JPG舗装道を下る


四等三角点「中浦」ピークが近くにあるので、帰路立ち寄ってみた。
中ノ津の東南端、民家が切れるあたりの路傍へ駐車。
山側へ向かう舗装道へ入る。分岐を直進し、コンクリート舗装された坂道を登る。
P1230740分岐.JPG山側へ向かう
P1230695分岐.JPG分岐

前方の路上へヤダケが被さり荒れてくるあたりで、左の支尾根斜面に山道が上がっており、これに取り付く。
P1230697支尾根取り付き.JPG支尾根取り付き

明瞭な道をたどっていくと、右の巻き道となり、右下の谷に城壁のような石垣とコンクリート貯水槽のような施設を見る。
P1230698山道.JPG山道
P1230699巻き道.JPG巻き道
P1230700石垣.JPG石垣
P1230701貯水槽?.JPG貯水槽?

谷沿いに登っていき、谷と合わさるあたりで石垣と出会い、ここで道が消失する。
石垣上に黄色のペンキで塗られた鉄製の施設を見る。果樹園のころの名残りだろうか。
P1230702山道.JPG山道
P1230704鉄製施設.JPG鉄製施設

右の斜面をよじ登りシダ尾根上へ出ると、右からの古道と出会う。地形図上の破線道だろう。シダが被さり現在使われている様子はない。
P1230705疎林斜面を登る.JPG疎林斜面を登る
P1230706シダ尾根と合流(下方).JPGシダ尾根と合流(下方向)

雑木尾根上に残る古道をたどると、まもなく古道は左の巻き道となるが、そのまま尾根上を直進する。
P1230707雑木疎林尾根.JPG雑木尾根
P1230708左巻き道.JPG巻き道が左に分かれる

尾根境にスギ並木が続き、小段状の尾根を登り切ると、右からの支尾根と合わさる。
P1230710境界スギ.JPG境界スギ
P1230711疎林尾根.JPG疎林尾根
P1230712左谷のツルヤブ.JPGツルヤブの左谷斜面
P1230713小段状の尾根.JPG小段状の尾根
P1230714主尾根上へ出る.JPG主尾根上へ出る

左折し雑木尾根を少し進むと、平坦ピーク上に四等三角点(点名:「中浦」)を見る。これといった特徴的なものはない山頂だ。
P1230715四等三角点.JPG四等三角点

尾根を戻り、そのまま北方向へ雑木尾根を下る。古道の名残りが現われ、たどっていくと左の支尾根方向へ向かう。
破線道のある支尾根上へ出るが、期待した明確な道はない。
P1230717雑木疎林の平坦尾根.JPG雑木疎林の平坦尾根
P1230718左の巻き道.JPG左の巻き道
P1230720シダ尾根.JPGシダ尾根

破線道とわかれ、古道をそのまま北方向へ下るとヒノキ林となる。シダがやや被る植林尾根を下っていくと標高60mあたりの鞍部で道が消失する。
P1230721右の支尾根へ下る.JPG右の支尾根へ下る
P1230723ヒノキ・シダ尾根.JPGヒノキ・シダ尾根
P1230722右の谷に小溜池.JPG右の谷に小溜池
P1230724ヒノキ林の鞍部.JPGヒノキ林の鞍部

仕方なくそのまま尾根を直進し、小ピークを左に巻いたあたりから雑木尾根に変わる。
P1230726左の巻き道.JPG左の巻き道
P1230727雑木疎林尾根.JPG雑木疎林尾根

道はないが下草のない歩きやすい尾根を下っていくと下に舗装道が見えてくる。斜面を下り舗装林道へ出る。
P1230728雑木疎林尾根.JPG雑木疎林尾根
P1230730下方に舗装道.JPG下方に舗装道
P1230731舗装林道下降地点(逆方向).JPG林道下降地点(逆方向)

左折し舗装林道の終点を確認してみた。100mほど先で墓地があり終点となる。コンクリート小道をあがってみると、墓地上部で行き止まりとなった。破線道は廃道化したようだ。
P1230732舗装林道終点部・墓地.JPG舗装林道終点部・墓地

林道を引き返し、海岸沿いの道路へ出て駐車地まで戻る。
P1230733遠見山.JPG林道から遠見山
P1230736中ノ浦海浜公園方向.JPG中ノ浦海浜公園方向
P1230737中ノ浦.JPG中ノ浦
P1230738「餅搗」.JPG三角点「餅搗」ピーク
P1230741遠見山.JPG遠見山

■山名考
◆遠見山・高遠山・鹿落
地下上申や風土注進案の記載だけでは山の特定が難しいと思えたので、文書館で絵図等を調べてみた。

『地下上申』戸津村境目書には高遠山が御立山として出てくるが、遠見山の記載はない。地下上申絵図を見ると、標高151.3mの三等三角点ピークとおぼしきところに「遠見」とあり、次の北西ピークの支尾根上に「鹿落」の記載がある。また遠見の北東方向の支尾根に「高○○○立山」とあり、これが高遠山であろうか。

毛利家文庫の「上ノ関宰判白井田・戸津両村論所大浦山絵図」や「上ノ関宰判大浦山・白井田・戸津論所絵図」を見ると、「遠見」が「魚見山」と記され、北西方向と思われる支尾根部分に「高遠山」、130mピークの絶壁部分に「鹿おとし」とある。前者の作成年代は宝暦9年(1759年)とあり、地下上申絵図作成とほぼ同じ頃だろう。

これらから遠見山(魚見山)については三等三角点ピークで間違いないと思われる。
一方高遠山については、もともと遠見山の御立山部分の呼称だったのではないかと推測される。毛利家文庫の絵図によれば、三角点ピークの遠見山から北西方向の支尾根上にある140m小ピークが高遠山とも考えられる。
しかし、風土注進案の山川形勢や山之事の項では、両山ともそれぞれ独立峰として記載されており、また山之事の両山の記載内容から判断し、130mピークを高遠山とし、鹿落しをその絶壁部分の呼称とした。

なお、『風土注進案』上ノ関之一の山之事の項から、遠見山と高遠山の部分を参考として以下に転記する。

「遠見山
高サ直立七拾貳間半、戸津之西北山端ニ近寄て有之、其西北ハ直ニ高遠山ニ隣し、東北ハ小浦 先船隠 前平畠之海邊ニ至、東南ハ山脊卑くして相続漸々戸津之後山ニ移、西南ハ谷を含て跡邊之海岸ニ至り山脈絶、故ニ周廻難相知候事」

「高遠山
高サ直立六拾五間半、戸津之西北一洲之山端ニ有之、西方絶壁にして山下ハ直ニ海、亦北ハ山腰相連て小山海岸ニ至、東ハ山田を擁き小浦海邊ニ至て山脈絶、當山之形勢概絶壁にして如孤山、雖然東南ハ遠見山に隣て相続、故ニ周廻難相知御座候事」

また、『上関町史』(昭和63年発行)の「民話と民謡」の項に、「鹿落」の記事が載っていたので、以下に転記する。

「鹿落
中之浦の西端、高塔山の南側のある窪(崖か?:gomen注記)の地名が現在も「鹿落」(きくどし)である。海岸から数十メートルの断崖となっている。
昔、この島に鹿が多くいたということで、人々は総出で山の中から鹿を狩り出して鹿落の上へ追い寄せ、崖から追い落として鹿を捕っていた。このことから、鹿落の地名ができたということである。」

なお、「きくどし」の由来は不明だが、論所絵図では「鹿おとし」とあり、もともとは「ししおとし」と呼んでいたのではないかと推測する。

P1230745高遠山・遠見山.JPG白井田側から高遠山・遠見山
P1230742平生側から遠見山・高遠山.JPG平生側から遠見山・高遠山
P1230743上盛山・遠見山.JPG上盛山・遠見山・高遠山

◆四等三角点「中浦」
上盛山から北西へ流れる尾根上の小ピークであり、絵図では尾根上に「竹のとう」といった名も見えるが特定できないので、三角点の土地の字名「餅搗」を採用した

コメント(5) 

コメント 5

gomen

四等三角点の点名「中浦」を、土地の字名である「餅搗」と記載していたので訂正しました。
by gomen (2015-04-12 09:17) 

yamakan

むむむ、58絵図まで調べるとは。。。。
そのうち、「○曜日の男」と呼ばれるようになります。

「高○○○立山」の最後の○は多分、「御」です。

たしか、御免山も御立山だったような気がします。
by yamakan (2015-04-12 18:32) 

gomen

この前、日曜日に調べに行ったら、しばらく貸切状態でした。

「高○○○立山」は「高當於預立山」と読むのではと思いましたが、自信がありません。
by gomen (2015-04-12 19:28) 

yamakan

ふむふむそれでいいかも

もしくは「當於」を変体仮名で「たお」と読ますか。それだと「預」が浮くので、前の方がいいかも。預けたのかな。

職員に聞いたら親切にすぐ教えてくれます
by yamakan (2015-04-12 19:40) 

gomen

『上関町史』(昭和63年発行)の「民話と民謡」の項に、「鹿落」の記事が載っていたので追記するとともに、「ししおとし」を「きくどし」と訂正しました。
by gomen (2015-04-19 08:08) 

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